〜3〜 第1章 3段落目

英語で味わう『茶の本:The Book of Tea』〜3〜 第1章 3段落目『茶の本』の3回目今回は、茶道が私たち日本人の日常にどんな風に根付いているかを例を挙げて説明されています。第2段楽の最後の文(It represents the true spirit of Eastern democracy by making all its votaries aristocrats in taste.) を受けて、それを展開させています。出てくる単語は、日常会話では見慣れないものが多いのですが、それは文語表現を意識した上でのことでしょう。教養の高さが滲んでいます。


《本文》
The long isolation of Japan from the rest of the world, so conductive to introspection, has been highly favorable to the development of Teaism.
Our home and habits, costume and cuisine, porcelain, lacquer, painting, - our very literature, - all have been subject to its influence.
No student of Japanese culture could ever ignore its presence.
It has permeated the elegance of noble boudoirs, and entered the abode of the humble.
Our peasants have learned to arrange flowers, our meanest labourer to offer his salutation to the rocks and waters.
In our common parlance we speak of the man “with no tea” in him, when he is insusceptible to the seriocomic interests of the personal drama.
Again we stigmatize the untamed aesthete who, regardless of the mundane tragedy, runs riot in the springtime of emancipated emotions, as one “with too much tea” in him.

《全訳:工藤さやこオリジナル》
長きに渡った日本の鎖国制度は、日本人に自国の文化に目を向けさせたのであるが、これが結果として茶道の発展に大いに貢献した。我々の衣食住やしきたり、器や絵画など、文化と呼べるものは何もかもが茶道の影響を受けているのである。日本文化を研究する者は、誰もが茶道の存在を無視できないであろう。
茶道文化は、高貴なご婦人の持ち物すべてに浸透しているし、身分の低い者の住居にさえ見て取れる。
この国では小作人も花を生けるし、貧しいその日暮らしの肉体労働者であっても岩や水と挨拶を交わす。
我々のことわざには『茶目っ気がない』というものがある。人生というものは、悲喜こもごもであるが、嘆いてばかりいて楽しみを見出そうとしない人のことをこう言うのである。
また反対に『お茶らけている』というのもある。
日々の悲しい出来事に目もくれず、まるで春の海で魚たちが大騒ぎしているかの如く、感情を解放させている教養のなさそうな人のことをこう呼ぶのである。


《単語&文法の説明》
●isolation(名詞)ここでは鎖国
●be conductive to〜  〜へと導く
●introspection(名詞)内省
→intro(接頭詞)内へ、中に
→spect (ラテン語)見る
●favorable(形容詞)好ましい
●be subject to〜 〜の影響を受けやすい
●permeate(他動詞)を通り抜ける、に浸透する
●boudoir(名詞)女性の寝室
●abode(名詞)=home 住まい
●humble(形容詞)貧しい
 the humble で貧しい人
 形容詞にtheが付くと人を表す
●peasant(名詞)小作農
●mean(形容詞)身分の低い
●labourer=laborer(名詞)労働者
●salutation(名詞)挨拶
●parlance(名詞)用語、語法
●be insusceptible to〜 〜に無神経な
●seriocomic(形容詞)真面目で滑稽な
●stigmatise=stigmatize(他動詞)を非難する
●untamed(形容詞)手入れされていない=wild
●aesthete(名詞)美的感覚に鋭い人
●mundane(形容詞)日常のありふれた
●run riot 騒ぎ回る
●springtide(名詞)大潮、高潮
●emancipate(他動詞)を解放する、釈放する




2020年03月13日